タイ陸軍によるクーデター(Thai coup in 2006)
2006年9月20日におきたタイのクーデターは、数日のうちに収束しました。3日後国内ではほとんどニュースにならなくなったので、記録用として写真を収集しました。以下クーデター当日の報道からその後の経過報道を写真と共に紹介します。 |
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<タ イ・クーデター>平穏なバンコク 観光客が記念写真も 【バンコク春日孝之】戒厳令が発令されたタイの首都バンコク。首相府などの付近に戦車や装甲車で詰める兵士に緊張感はない。市民や 観光客が周囲に集まり、記念写真を撮るなど「静かなクーデター」を印象づけた。 「クーデター発生」の情報が流れた19日午後9時すぎ。2台の戦車が待機する首相府北門前で実況していたテレビ局の女性記者 (35)に、日本人観光客が「何のイベントですか?」と声をかけた。記者は「クーデター取材は初めてだけど、タイ式クーデターは平穏そのものね」。ただ、 クーデターには「民主主義をおとしめるから正当化できない」と話した。 戒厳令が出た後の翌20日午前1時。北門周辺には15人ほどの兵士が詰めているが、時折タバコを吸ったり、談笑したりしている。テ レビのニュースでクーデターを知ったタイ航空の女性社員(23)は、完全武装して戦車の前に立つ兵士を「よくやったね」と激励、一緒に写真に収まった。社 員は「タクシン首相は嫌い。首相一族は不透明な株取引で大もうけをしたから」と笑顔で語った。 夫の駐在に伴って今年4月からバンコクで暮らす小川由美さん(40)は「まさかバンコクでこんなことがあるなんて。日本人学校と幼 稚園は臨時休校になり、外出が禁止されているので、買い物ができるかも心配」と不安な表情をみせた。 (毎日新聞) - 9月20日11時39分更新 |
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クー デター主導の司令官、国王寄り・首相とは一線 【バンコク=川辺徹】今回のクーデターを主導したと目されるソンティ陸軍司令官(59)は、昨年10月、イスラム教徒として初めて 国軍内で最大の影響力を持つ陸軍司令官に就任した。タイではイスラム教徒住民が多い南部で2004年から過激派によるテロが多発。昨年の人事では首相の軍予備学校時代の同級生が陸軍 司令官に就任するとの観測もあったが、国王に近い元幹部らの後押しもあって就任した経緯がある。入隊後、一貫して陸軍特殊戦部隊畑を歩んだ経歴を持つが、今年1月の本紙との会見では「(南部では)掃討作戦より住民の安全確保を 進めたい」と強調。力による制圧を重視するタクシン首相と異なるソフトアプローチを訴え、首相と一線を画してきた。今回の政治危機でも、首相辞任を求める反首相派デモ隊が首相府を取り囲んだ3月末にタクシン氏と面会。「今回デモは世界で最も平和 的に行われた。軍が早く出て行くのは政府にとってよくない」と非常事態宣言発令をちらつかせる首相をいさめた。「国王の心配を和らげたい」と軍が国王の下にあることも強調。ワンマン首相の思惑通りに動かない司令官というイメージから今年の人 事で司令官を外れるとのうわさも出ていた。クーデターは、こうして首相とのあつれきがますます顕著になる中で決行された。 (2006年9月20日14時23分 読売新聞) |
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【バンコク=川辺徹】タクシン首相(57)の進退を巡り、政治危機が続いていたタイで19日に起きたクーデターで、陸軍スポークス マンは同日夜、地元テレビ局を通じ、軍と警察で構成する「民主改革評議会」が全権を掌握したと発表した。同評議会は全土に戒厳令を布告。現行憲法廃止とともに、上下両院、内閣、憲法裁判所の停止も宣言した。2001年に発足したタクシ ン政権に対しては今年に入り、一族の株取引に絡む疑惑や強権的手法への批判が高まっていたが、軍の離反を引き起こし、崩壊に追い込まれた。軍によるクーデ ターは1991年以来、15年ぶり。国連総会出席のため米ニューヨークに滞在中のタクシン首相は19日夜、首都バンコクに非常事態宣言を発令するとともにクーデターを 主導したソンティ陸軍司令官解任も発表したが、評議会側は首相の非常事態宣言を無効とした。タイの英字紙ネーション(電子版)は、消息筋の話として首相は ロンドンに向かう可能性があると伝えた。評議会を指揮するソンティ陸軍司令官らは全権掌握を宣言後、バンコクの王宮を訪れプミポン国王と会見。同司令官は20日午前9時 (日本時間同11時)過ぎ、テレビ演説し、クーデターを起こした理由について、「タクシン首相の前例のない汚職体質」や「繰り返し国王を侮辱した」ことな どに言及、政治混乱を収拾するため、軍が権力を掌握する必要があったと説明した。ただ、「軍による統治は一時的なもの」と述べ、早期に民政移管する方針を 明らかにした。ネーションによると、民主改革評議会は首相側近のチャチャイ副首相を拘束。与党・タイ愛国党のスダラット農相は家族とともにパリに 逃亡。バンコク・ポスト紙によると、首相の妻と長男は、ネウィン首相府相を伴って19日夜、シンガポールへ向けて出発した。陸軍は19日夜、首相府や国連ビル、国会議事堂が集中するバンコク中心部の官庁街を押さえ数百人の兵士を配備した。現在のところ治 安は維持されている。陸軍がクーデターに踏み切った背景には、タクシン政権の金権体質や首相の強権手法への反発がある。今年1月には、一族が支配する通信会社による733億バーツ(約2300億円)の不正株取引疑惑が明らかになるなど批判が高まり、 首相に辞任を求める大規模デモがバンコクで頻繁に行われるようになった。また、11月にやり直し総選挙が行われた場合、首相陣営が地方票を集め勝利する公算が大きく、「憲法を超越した権力を持った人物が 立憲政治に混乱を起こしている」と、君主制批判とも取れる発言を繰り返している首相を放置できないとする意見が広がっていた。(2006年9月20日14時5分 読売新聞) |
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タイ 軍の クーデター 、国民の8割が支持 |
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タクシン色一掃へ タイ・クーデター政権調査着手 前首相側近の不正追【バンコク21日永田健】 タイのクーデターで実権を握った民主改革評議会(議長・ソンティ陸軍司令官)は21日、タクシン前首相の影響力の強い政府諮問機関を解散させ、前閣僚に出頭を命じて事情を聴くなど、タクシン政権時代の不正疑惑を追及する方針を鮮明にした。早急にタクシン前首相派の影響力を一掃する構えだ。 同評議会は、ジャルワン会計検査院長に前政権の不正調査の全権を委任した。ジャルワン氏はかつて、前政権にからむ不正を追及しようとしてタクシン前首相と対立、辞めさせられそうになったこともある人物だけに、国民の人気が高い。 疑惑追及の最大のターゲットは、一連の政変の発端となったタクシン前首相一族の株取引問題。ソンテイ司令官は20日の会見で「前首相の財産を差し押さえるか」との質問に対し「法に基づいて対応する。法を破ったものは罰せられるべきだ」と答え、前首相の蓄財に不正がなかったか追及していく方針を示した。 注目のジャルワン氏は21日、記者団に対し「新空港の検査機器導入に関する疑惑について、数日中に結果が出せる」と語った。同疑惑では与党の実力者である元運輸相の関与が取りざたされている。 また同評議会は同日、ネウィン前首相府相とヨンユット前資源・環境相に出頭を求め、2人から聴取した。聴取内容は明らかになっていないが、2人はタクシン前首相が集会を開く際の「動員担当」だったこともあり、前首相支持派が反クーデター集会を開かないよう、評議会が圧力をかけたとの見方がある。 軍当局はすでに、チャチャイ前副首相とプロミン前首相秘書官を拘束。タンマラク前国防省はカンボジア国境付近に逃亡したとみられる。一部の幹部はタクシン前首相とともにロンドン入り。行方がわからなくなっている前閣僚もおり、数日前まで権力の中枢にいたタクシン派は、すでに散り散りになっている。 =2006/09/22付 西日本新聞朝刊= |